A01:現役薬剤師

【薬を知る】エンシュア・リキッド【インタビューフォーム】

このページでは、【エンシュア・リキッド】のインタビューフォームをもとに、重要項目の整理をしていきます。

これらの情報を活用する際には、必ず元の文献を確認してください。

【出典】医薬品インタビューフォーム エンシュア・リキッド 改訂第10版

販売名

和名

エンシュア・リキッド

洋名

ENSURE LIQUID

名前の由来

ENSURE(確実にする)
エンシュア・リキッドの摂取により栄養補給を確実にする

概要

開発の経緯

粉末製剤が有する欠点(溶解の手間,溶解後の安定性等)を改良し,幅広い病態時の栄養 管理を目的として開発された.

特徴と有用性

  • 粉末製剤の溶解時に必要とする器具,手間が不要であり,又,粉末製剤にみられるような 溶解時の細菌汚染の心配がない.
  • 三大栄養素,必須のビタミン,ミネラルの必要量を効率よく補給できるように配合している.
  • 本剤の浸透圧は約 330mOsm/L と体液の浸透圧に近く,かつ乳糖を含まない.
  • バニラ味コーヒー味及びストロベリー味(バッグ入りはバニラ味のみ)の3種類がある.

効果・効能

一般に,手術後患者の栄養保持に用いることができるが,特に長期にわたり,経口的食事摂取が困難な場合の経管栄養補給に使用する.

用法・用量

標準量として成人には 1 日 1,500 〜 2,250mL(1,500 〜 2,250kcal)を経管又は経口投与する. 1mL 当たり 1kcal である.

なお,年齢,症状により適宜増減する.

経管投与では本剤を 1 時間に 100 〜 150mL の速度で持続的又は 1 日数回に分けて投与する.経口投与では1日1回又は数回に分けて投与する.

ただし,初期量は標準量の 1/3 〜 1/2 量とし,水で約倍量に希釈(0.5kcal / mL)して
投与する.以後は患者の状態により徐々に濃度及び量を増し標準量とする.

安全性

禁忌

  1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 牛乳たん白アレルギーを有する患者
    〔本剤は牛乳由来のカゼインが含まれているため,ショック,アナフィラキシーを引き起こすことがある.〕
  3. 妊娠3ヵ月以内又は妊娠を希望する婦人へのビタミンA 5,000 I U/ 日以上の投与

禁忌の解説

  1. 本剤はたん白源として牛乳由来のカゼインを多く含有しており(たん白質成分 87.3%)
    牛乳たん白アレルギーを有する患者に本剤投与後,アナフィラキシーショックを起 こした症例があるため
  2. 外国における出生児調査によると,妊娠前 3 ヵ月から妊娠初期 3 ヵ月までにビタミン A を 10,000 IU /日以上摂取した母親からの出生児異常の発現率が高かったため

    ※エンシュア・リキッドには、ビタミンAが、625IU/250ml含む。

重要な基本的注意

  1. 本剤を術後に投与する場合,胃,腸管の運動機能が回復し,水分の摂取が可能になったことを確認すること.
  2. ビタミン,電解質及び微量元素の不足を生じる可能性があるので,必要に応じて 補給すること.長期投与中にセレン欠乏症(心機能の低下,爪白色変化,筋力低 下等)があらわれたとの報告がある.

重要な基本的注意の解説

  1. 本剤は経腸栄養剤であり,消化管による消化吸収が可能であることが投与開始の前提である。消化管に障害がない場合でも麻酔等により胃,腸管の運動機能が低下している場合がある消化管の術後患者,中心静脈栄養法から経腸栄養法に変更する場合等も,胃,腸管の機能回復を確認する必要がある.
  2. 本剤はビタミン,ミネラル電解質及び微量元素の一部について必要十分な含量を有し ないものがあるので,これらが不足する場合がある.

    特にセレンは本剤のみで長期にわたり栄養管理が行われた患者においてセレン欠乏が疑われる症例が報告された。
    このため,必要に応じてこれらを補給するよう注意が必要である.

副作用

承認時:
250 例中 53 例(21.2%)に副作用がみられたが,副作用のために投与を中止した症例は3例(1.2%)であった.

主な副作用は

下痢43例(17.2%)
腹部膨満感9例 (3.6%)
腹痛 3 例(1.2%)等の消化器症状であった.

BUN,血中カリウムの上昇 が各 1 例ずつみられた.

重大な副作用として ショック , アナフィラキシー(頻度不明)が , あらわれることがあると報告されている .

保存

未開封での保存

冷温・未開封の条件下の保管での使用期限は12ヶ月

開封後の保存

最も変化しやすいビタミンCは経時的に減少し,開封後 48 時間を超えると開封直後の値より 20%以上の減少が認められた.

開封 72 時間後において菌の発育は認められなかった.

以上の結果から,開封後 48 時間以内に投与を終了することとした.

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