このページでは、2種以上の坐剤が処方された時の挿入の順番を確認します。
基剤から考える一般的な坐剤の挿入順序
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坐剤の基剤を確認しよう
油脂性基剤
油脂製の基剤は体温によって溶解し、薬物を放出します。
溶解する際の温度は、34-39度です。
溶解温度が低いため、保管は冷所保管です。
油脂性基剤の主な商品
- アセトアミノフェン(アンヒバ坐剤・アルピニー坐剤)
- フェノバルビタール(ワコビタール坐剤)
- ジクロフェナク(ボルタレンサポ)
- サラゾスルファピリジン(サラゾピリン坐剤)
- ベタメタゾン(リンデロン坐剤)
- ビサコジル(テレミンソフト坐剤)
- 炭酸水素Nα・無水リン酸二水素Nα(新レシカルボン坐剤)
- 吉草酸ジフルニルトロン・リドカイン(ネリプロクト坐剤)
- トリベノシド・リドカイン(ボラザG坐剤)
主な油脂性の基剤
- グリセリン脂肪酸エステル
- ハードファット
- カカオ脂
- ウイテプゾール
水溶性基剤
水溶性基剤は、分泌物によって徐々に溶解し、薬物を放出します。
溶解する際の温度は、50-60度です。
溶解温度が高いため、保管は室温保管です。
水溶性基剤の主な商品
主な水溶性の基剤
- マクロゴール
- ソフトゼラチン
複数の坐剤が処方された時の挿入の順番
まずは、今の患者様の症状に最も必要な成分が何かを確認しよう。
熱性痙攣の予防目的で使用する抗痙攣薬や、発作を抑制する抗てんかん薬、抗喘息薬・また制吐などの緊急を要する坐剤は先に挿入し、解熱薬・抗生剤などの坐剤はその後に挿入することもあります。
緊急性の高さや重要性について、医師の意図を確認することが大切です。
まずは、これらの緊急性のある座薬から使用するようにしましょう。
処方時に、医師にしっかりと確認するようにしましょう。
坐剤の効能を確認し、緩下剤を併用する際には、1番最後に挿入しましょう。
例えば、新レシカルボン坐剤は、腸内で炭酸ガスを発生し蠕動運動を亢進することにより排便を促進します。
せっかく、挿入した成分を排便により出してしまうことが無いように、直前に挿入した坐剤とは1時間の間隔をあけて挿入するようにしましょう。
坐剤の特性を確認し、水溶性基剤を先に挿入しましょう。
よく例としてあげられるのは、ナウゼリン坐剤とアルピニー坐剤の順番です。
上の図でも取り扱いましたが、ナウゼリン坐剤は、水溶性基剤で、アルピニー坐剤は脂溶性基剤です。
結論から言うと、
先に、水溶性性基剤のナウゼリン坐剤を挿入し、30分程度あけて、次いで脂溶性基剤のアルピニー坐剤を挿入します。
これは、先にアルピニー坐剤を挿入した場合で、アルピニー坐剤の脂溶性基剤が腸に残っていた場合、この残ってしまった脂溶性基剤に、ナウゼリンの主薬が吸着してしまうためです。
吸着してしまったら、体内へ吸収出来ないので、望んだ効果が得られませんよね。
同じ特性の基剤同士の併用は、5分あけましょう。
同じ特性の基剤同士の併用をするときには、5分の間隔をあけましょう。
例えば、解熱剤としてのアセトアミノフェン坐剤熱性痙攣予防のジアゼパム坐剤を併用などがこのパターンにあたります。
同一成分の薬剤で、
製品によって、基剤が異なる場合があるので注意
同一成分の薬剤であっても基剤が異なる場合があるので、一般名処方の記載の処方箋を応需した場合には要注意です。
例えば、インドメタシンを含む坐剤をみてみましょう。
インドメタシン坐剤「NP」のインタビューフォーム 第1版を確認すると、
Ⅳ.製剤に関する項目 - 2製剤の組成 - (2)添加物 には、ハードファット(基剤)との記載があります。
脂溶性基剤の坐薬であることがわかります。
それでは、インテバン坐剤のインタビューフォーム 改定第4版を確認してみましょう。
Ⅳ.製剤に関する項目 - 1剤形 - (2)剤形の区別および性状 には、添加物として
水溶性基剤であるマクロゴール4000 と 脂溶性基剤であるハードファットの記載があります。
ついで、Ⅰ.概要に関する項目 - 2.製品の特徴および有効性 を確認すると、
水溶性であるマクロゴール基剤によるインドメタシン放出性の良さと、油脂性基剤であるハードファットの粘膜親和性の良さとを併せもつ「乳剤性基剤」を使用している。
直腸粘膜刺激作用が少なく、安定性が良い。
との記載があります。
開発の経緯にも、
販売後に基剤の改良を行い、直腸粘膜刺激作用が少なく、より安定な製剤とした。とあります。
このように、成分と基剤を対応させることが出来ない事例もあるので注意が必要です。
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