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【薬を知る】エネーボ配合経腸用液【インタビューフォーム】

このページでは、【エンシュア・リキッド】のインタビューフォームをもとに、重要項目の整理をしていきます。

これらの情報を活用する際には、必ず元の文献を確認してください。

【出典】医薬品インタビューフォーム エネーボ配合経腸用液 改訂第5版

販売名

和名

エネーボ®配合経腸用液

洋名

ENEVO® Liquid for Enteral Use

名前の由来

EN(Enteral Nutrition:経腸栄養)EVO(Evolution:進化)

概要

開発の経緯

我が国における液状の医薬品経腸栄養剤として初めて承認されたのは,エンシュア・リキッド®(1 kcal/mL,製造販売業者:明治乳業[現,株式会社 明治])であり,1988年に発売された.

その後, 製品ラインナップが増加し,1995年にはエンシュア®・H(1.5 kcal/mL,同社),他1剤が発売された.

これらの栄養剤は,術後栄養管理に有用であり,特に長期間にわたって経口的食事摂取が不十分で栄養補給(経管・経口栄養)が必要な患者に使用されてきた.

エネーボ®配合経腸用液(以下,エネーボ)は、既存の経腸栄養剤の栄養成分を,日本人の術後患者,高齢患者及び/または経管栄養を必要とする栄養不良患者の必要量を満たすように独自に製剤設計された新しい経腸栄養剤である.

栄養成分は,推奨栄養所要量(RDA)と標準栄養(1,200〜2,000kcal)当たりの必須ビタミン,ミネラルの適正摂取量(AI)が日本人食事摂取基準(DRI)をほぼ満たすと同時に,術後の栄養管理や高齢者の栄養ニーズを鑑み,また安全性に配慮して,各成分の摂取
量が許容上限摂取量(UL)を超えないように配合している。

特に,高齢化が進む日本では,後期高齢者,超高齢者に栄養剤を投与する機会も増え,術後栄養管理において過剰投与を避ける目的から,本剤では,ほとんどのビタミン,ミネラルは,標準量の下限量においても十分に投与ができるように配慮した.

また,高齢者の場合は栄養管理が必要となる期間が長期にわたることが多く,既存の経腸栄養剤では欠乏症等が報告されていた栄養成分,例えば超微量元素であるセレンやクロム,モリブデン,条件付き必須栄養素カルニチン,タウリンも供給するように配合した.

特性と有用性

  • 三大栄養素のバランス
    日本人の術後患者,高齢患者及び/または経管栄養を必要とする患者の栄養ニーズを満たすよう,タンパク質:脂質:炭水化物のエネルギー比率を18:29:53とした.
    投与量,投与濃度,味に配慮し,本剤は,1.2 kcal/mL(300 kcal/250 mL)に調整している.
  • タンパク質
    300 kca(l 1缶)あたりのタンパク質量は13.5 gである.
    良質の乳タンパク質(牛乳タンパクと乳清タンパク)と分離大豆タンパク質を90.5:9.5の割合で配合することにより,BCAA(分岐鎖アミノ酸)を強化している.
    NPC/N比(非タンパクカロリー/窒素比)は,116(分析値に基づく)である.
  • 脂質
    脂質代謝に配慮して,一価不飽和脂肪酸を含有する高オレイン酸ヒマワリ油を配合している.
    脂質吸収に配慮して,中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を配合している.
    また,魚油ならびにナタネ油を配合し,ω3脂肪酸:ω6脂肪酸の比率を1:4に調整した.
  • 炭水化物
    主な糖質源はデキストリンと精製白糖(ショ糖)で,フラクトオリゴ糖(FOS)と難消化性デキストリン,大豆多糖類を配合している.
  • ビタミン
    ビタミンは,既存製品の配合組成及び日本人の推奨栄養所要量と臨床栄養学を参考にして適量を配合している.
    特にビタミンAは,妊婦,産婦,授乳婦への過剰投与による奇形児発生に関する(既承認経腸栄養 剤の)使用上の注意を考慮し,β-カロテンを添加することによりレチノール当量として強化した.

    ビタミンDは骨の健康に重要な役割を担う栄養素で,最近の研究においては,特に高齢者でビタミンD欠乏症の発生が増加しているため,本剤ではビタミンDを従来の経腸栄養剤に比較して増量している.ビタミンDは,カルシウムとともに高齢者の筋肉維持や骨粗鬆症予防にも有用である.
  • 超微量ミネラル・その他
    適切な代謝や,長期の栄養管理時の欠乏症に配慮し,セレン,モリブデン,クロムを医薬品経腸栄養剤として,初めて配合している.カルニチンは通常,体内で合成されるが,加齢やストレスに伴い合成能が低下するため,本剤では,L-カルニチンを医薬品経腸栄養剤として初めて配合している.

    タウリンは,条件付き必須アミノ酸で胆汁の主成分であり,胆汁酸の抱合,抗酸化,浸透圧調節,膜安定化及びカルシウムシグナル伝達の調節,など多くの基本的な生物学的役割を持つ成分であり,医薬品経腸栄養剤として初めて配合している.

効果・効能

一般に,手術後患者の栄養保持に用いることができるが,特に長期にわたり,経口的食事摂取が困難な場合の経管栄養補給に使用する.

<効能・効果に関連する使用上の注意>
経口食により十分な栄養摂取が可能となった場合には,速やかに経口食にきりかえること.

用法・用量

通常,標準量として成人には1日1,000〜1,667 mL(1,200〜2,000 kcal)を経管又は経口投与する.

経管投与では本剤を1時間に62.5〜104 mL(75〜125 kcal)の速度で持続的又は1日数回に分けて投与する.

経口摂取可能な場合は1日1回又は数回に分けて経口投与することもできる.
ただし,通常,初期量は333 mL/日(400 kcal/日)を目安とし,低速度(約41.7 mL/時間(50 kcal/時間)以下)で投与する.以後は患者の状態により徐々に増量し標準量とする.

なお,年齢,体重,症状により投与量,投与濃度,投与速度を適宜増減する.特に投与初期は,水で希釈して投与することも考慮する.

<用法・用量に関連する使用上の注意>
本剤は,経腸栄養剤であるため,静脈内へは投与しないこと.

安全性

禁忌

  1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 牛乳タンパクアレルギーを有する患者〔本剤には牛乳由来のタンパク質が含まれているため,( ショック,アナフィラキシーを引き起こすことがある.〕
  3. イレウスのある患者〔消化管の通過障害がある.〕
  4. 腸管の機能が残存していない患者〔水,電解質,栄養素などが吸収されない.〕
  5. 高度の肝・腎障害のある患者〔肝性昏睡,高窒素血症などを起こすおそれがある.〕
  6. 重症糖尿病などの糖代謝異常のある患者〔高血糖,高ケトン血症などを起こすおそれがある.〕
  7. 先天性アミノ酸代謝異常の患者〔アシドーシス,嘔吐,意識障害などのアミノ酸代謝異常の症状が発現するおそれがある.〕

禁忌の解説

  1. 本剤の成分に対し過敏症のある患者に投与すると,重篤な副作用(ショック,アナフィラキシー等)を発現するおそれがある.
  2. 本剤には牛乳由来のタンパク質が含まれているため(タンパク質成分の90.5%),牛乳タンパクアレルギーを有する患者に投与すると,ショック,アナフィラキシーを引き起こすことがある.
  3. イレウスのある患者では,消化管の通過障害がある.
  4. 腸管の機能が残存していない患者では,水,電解質,栄養素などが吸収されない.
  5. 高度の肝障害時には,タンパク代謝が十分に行われないため,場合によって肝性昏睡を誘発するおそれがある.また,高度の腎障害時には血中に尿素などが滞留し,本剤に含まれる窒素源によりこの傾向が増大するおそれがある.
  6. 重症糖尿病などの糖代謝異常のある患者では,本剤の投与により高血糖,高ケトン血症などを起こすおそれがある.
  7. 先天性アミノ酸代謝異常の患者では,アミノ酸が十分に利用されないだけでなく,血中のアミノ酸インバランスによりアシドーシス,嘔吐,意識障害などのアミノ酸代謝異常の症状が発現するおそれがある.

慎重投与

  1. 短腸症候群の患者(下痢の増悪をきたすおそれがある.)
  2. 急性膵炎の患者(膵炎が増悪するおそれがある.)
  3. 水分の補給に注意を要する下記患者(下記の患者では水分バランスを失いやすい.)

    1)意識不明の患者
    2)口渇を訴えることのできない患者
    3)高熱を伴う患者
    4)重篤な下痢など著しい脱水症状の患者

慎重投与の解説

  1. 短腸症候群などの高度の腸管機能障害を有する患者に対して本剤を投与する場合,投与速度などの影響により下痢を起こすことが考えられる.
  2. 本剤投与により膵液分泌を刺激し,病態を悪化させるおそれがある.
  3. 本剤2,000 kca(l 1,667 mL)の摂取により約1,350 mLの水分が供給されるが,患者の状態,腎機能,体温,不感蒸泄あるいは気温などにより水分バランスが変わることから,水分の補給に注意を要すると考えられる.

重要な基本的注意

  1. 本剤を術後に投与する場合,胃,腸管の運動機能が回復し,水分の摂取が可能になったことを確認すること.
  2. 本剤の臨床試験において2週間を超える時期での効果は確認されていない.
  3. ビタミン,電解質(ナトリウムなど)及び微量元素の不足を生じる可能性があるので,必要に応じて補給すること.

重要な基本的注意の解説

  1. 本剤は経腸栄養剤であり,消化管による消化吸収が可能であることが投与開始の前提である.消化管に障害がない場合でも麻酔等により胃,腸管の運動・吸収能が低下している場合がある. 消化管の術後患者,中心静脈栄養法から経腸栄養法に変更する場合等も,胃,腸管の機能回復を確認する必要がある.
  2. 第Ⅲ相臨床試験においては,2週間の投与により効果を評価している.
  3. 本剤は投与初期等,投与量によっては,ビタミン,ミネラル電解質及び微量元素の一部について必要十分な含量を有さないものがあるので,これらが不足する場合がある.

相互作用

ワルファリンの作用が減弱することがある

相互作用の解説

一般にフィトナジオン(ビタミンK1)は,ワルファリンの作用に拮抗し,その作用を減弱することがある.
本剤はフィトナジオンを29μg/250 mL含有するため併用注意とした.

副作用

承認時:
成人患者を対象とした第Ⅲ相比較試験において,安全性評価対象59例中43例(72.9%)に副作用がみられた.

主な副作用は、
下痢24例(40.7%)
便秘9例(15.3%)
腹部膨満6例(10.2%)
腹痛5例(8.5%)
    等の消化器症状

及び
低ナトリウム血症4例(6.8%)
高カリウム血症3例(5.1%)
であった.

主な 臨床検査値の異常は、
γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加が5例(8.5%)
血中アルカリホスファターゼ増加が4例(6.8%)
であった.

重大な副作用として,他の経腸栄養剤において,ショック,アナフィラキシーが報告されているので,観察を十分に行い,血圧低下,意識障害,呼吸困難,チアノーゼ,悪心,胸内苦悶,顔面潮紅,そう痒感,発汗等があらわれた場合には直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと.

保存

使用期限:製造後12カ月(使用期限:缶底に記載)
貯法・保存条件
貯 法:室温保存

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