A01:現役薬剤師

【薬を知る】エンシュア・H【インタビューフォーム】

このページでは、【エンシュア・リキッド】のインタビューフォームをもとに、重要項目の整理をしていきます。

これらの情報を活用する際には、必ず元の文献を確認してください。

【出典】医薬品インタビューフォーム エンシュア・H 改訂第13版

販売名

和名

エンシュア・H

洋名

ENSURE H

名前の由来

ENSURE(確実にする) H(ハイカロリー)
エンシュア・H の摂取により栄養補給を確実にする.

概要

開発の経緯

従来の液状の経腸栄養剤は 1 kcal/mL に調製されており,幅広い病態時の栄養管理を目的として使用されている.

しかし,水分摂取を制限された患者,病状の回復に高カロリーが必要な患者,投与中の拘束時間を短縮したい患者などに高濃度に調製された製剤が望まれており,この要望に応えるべく開発が進められた。

特性と有用性

  • 本剤は,淡褐色の懸濁液で特有の芳香を有し,味は甘い.そのまま,経口又は経管投与が 行える.
  • 粉末製剤の溶解時に必要とする器具,手間が不要であり,又,溶解時の細菌汚染の心配が ない.
  • 三大栄養素,ビタミン,ミネラルの必要量を効率よく補給できるように配合している. ・乳糖を含まない.
  • 1.5 kcal/mL に調製されているため,水分摂取を制限された患者,病状の回復に高カロリーが必要な患者,投与中の拘束時間を短縮したい患者など高濃度の製剤が必要な患者への投 与に適している.
  • バニラ味,コーヒー味,バナナ味 , 黒糖味 , メロン味 , ストロベリー味,抹茶味の 7 種類が ある.

効果・効能

一般に,手術後患者の栄養保持に用いることができるが,特に長期にわたり,経口的食事摂取が困難で,単位量当たり高カロリー(1.5 kcal /mL)の経腸栄養剤を必要とする下記の 患者の経管栄養補給に使用する.

  • 1)水分の摂取制限が必要な患者
     (心不全や腎不全を合併している患者など)
  • 2)安静時エネルギー消費量が亢進している患者
     (熱傷患者,感染症を合併している患者など)
  • 3)経腸栄養剤の投与容量を減らしたい患者
     (容量依存性の腹部膨満感を訴える患者など)
  • 4)経腸栄養剤の投与時間の短縮が望ましい患者
     (口腔外科や耳鼻科の術後患者など)

用法・用量

標準量として成人には1日1,000〜1,500mL(1,500〜2,250 kcal)を経管又は経口投与する. 1mL 当たり 1.5 kcal である.

なお,年齢,症状により適宜増減する.

経管投与では本剤を 1 時間に 50 〜100 mL の速度で持続的又は 1 日数回に分けて投与する.

なお,消化吸収障害がなく経腸栄養剤の投与時間の短縮が望ましい患者には 1 時間に 400 mL の速度まで上げることができる.経口投与では 1 日 1 回又は数回に分けて投与する.

安全性

禁忌

  1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 牛乳たん白アレルギーを有する患者
    〔本剤は牛乳由来のカゼインが含まれるため,ショック,アナフィラキシーを引き起こすことがある.〕
  3. たん白質や電解質の厳密な制限が必要な急性腎炎,ネフローゼ症候群,腎不全末期の患者〔病態が悪化するおそれがある )
  4. 悪心,嘔吐,下痢を合併している心不全患者
  5. 妊娠3ヵ月以内又は妊娠を希望する女性へのビタミンA5,000 IU/日以上の投与

禁忌の解説

  1. 本剤はたん白源として牛乳由来のカゼインを多く含有しており(たん白質成分 87.3%),
  2. 牛乳たん白アレルギーを有する患者に本剤投与後,アナフィラキシーショックを発現した症例があるため
  3. 本剤は術後などの経口的食事摂取が困難な患者の栄養保持に用いることを目的としており,腎臓病治療食ではない。従って、たん白質や電解質の厳密な摂取制限が必要な急性腎炎,ネフローゼ症候群,腎不全末期(非透析例)の患者への適用は困難であるため.
  4. 心不全患者に本剤を投与し下痢・嘔吐などが悪化した場合,病状を悪化させる恐れが あるため.
  5. 外国における出生児調査によると,妊娠前3ヵ月から妊娠初期3ヵ月までにビタミン Aを 10,000 I U/日以上摂取した母親からの出生児異常の発現率が高かったため

慎重投与

  1. 短腸症候群などの高度の腸管機能障害を有する患者〔下痢を起こすおそれがある.〕
  2. 糖代謝異常の患者〔高血糖になるおそれがある.
  3. 水分の補給に注意を要する下記患者〔脱水状態になる,又は脱水状態が悪化するおそれがある)

    1)昏睡状態の患者
    2)意識不明の患者
    3)口渇を訴えることのできない患者
    4)高熱を伴う患者
    5)重篤な下痢など著しい脱水状態の患者
    6)腎障害のある患者

慎重投与の解説

  1. 短腸症候群などの高度の腸管機能障害を有する患者に対して本剤を投与する場合,投 与速度などの影響により下痢を起こすことが考えられる.
  2. 本剤の糖質エネルギー比は 54.5%と同種同効品(52.4 〜 67.9%)と比較しても高いものではないが,糖尿病患者等においては高血糖となるおそれがあると考えられる.
  3. 本剤 2,000 kcal の摂取により約 1,000 mL の水分が供給されるが,患者の状態,腎機能,体温,不感蒸泄あるいは気温などにより水分バランスが変わり,又,本剤は,高濃度 (1.5 kcal/mL)に調製されていることから水分の補給に注意を要すると考えられる.

重要な基本的注意

  1. 本剤は 1 mL あたり 1.5 kcal に調製されているため,本剤を投与する場合,低濃度 (1 kcal/mL以下)の他の経腸栄養剤を投与し,下痢等の副作用が発現しないことを確認すること.また,消化吸収障害がない患者には当初から本剤を投与してもよい.
  2. ビタミン,電解質及び微量元素の不足を生じる可能性があるので,必要に応じて 補給すること.長期投与中にセレン欠乏症(心機能の低下,爪白色変化,筋力低 下等)があらわれたとの報告がある.

重要な基本的な注意の解説

  1. 本剤は他の経腸栄養剤に比べ,高濃度(1.5 kcal/mL)に調製されているので,下痢などの消化器系の副作用を生じる可能性が高い。

    このため,低濃度の経腸栄養剤でこの ような副作用の発現がないことを確認後,本剤の投与に切り替えることにより副作用 の発現を抑制できると考えられるため.

    なお,吸収障害のない,口腔外科,耳鼻科領域の患者には,当初から本剤を投与してもよい.
  2. 本剤はビタミン,電解質及び微量元素の一部について必要十分な含量を有しないもの があるのでこれらが不足する場合がある.特にセレンは本剤と同一成分のエンシュア・ リキッド長期投与中の患者においてセレン欠乏症が疑われる症例が報告された。

    このため必要に応じてこれらを補給するよう注意が必要である.


副作用


承認時:
164 例中 23 例(14.0%)に副作用がみられた.

その内訳は、

下痢 15 例(9.1%)
胃部不快感 3 例(1.8%)
腹部膨満感 2 例(1.2%)
  等の消化器症状が主であった.

臨床検査値の異常では BUN の上昇が 3 例(1.8%),血中カリウム,LDH,アミラーゼの上昇が各 1 例(0.6%) みられた.

重大な副作用としてショック , アナフィラキシー(頻度不明)を起こすことがある

保存

未開封の状態での保存

室温条件での使用期限は、12ヶ月

開封後の保存

冷蔵庫内に保存し、開缶48時間以内に使用すること。
本剤を冷凍するのは避けること

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